ミステリー
翻訳の仕事が始まってからも、悪魔はときどき一幸の家を訪れた。

なんと一幸、最近、
自分の分野と別の
物語の翻訳のコンテストにも応募してみてなんと
準グランプリだったと!!
QUOカード20万円分と賞金30万円と
今後の仕事の契約も交わされた!



自分の世界で、水晶玉ごしに一幸の様子を観察し、
一幸の仕事の邪魔にならない時を見計らって。



翻訳の仕事が始まって、2カ月ほどになるある日。



『悪魔くん、今日はもう既に、翻訳の仕事終わったし、
バイトも休みだからこの後カラオケかどこか、遊びに行こう。
約束通り、今日は僕が代金出すよ。

しかも、昨日翻訳会社からメール来たんだよ、
再来月、僕やほかの翻訳者の皆さんに勤労手当、いわゆるボーナスもくれるって!! 
やった、再来月母さんの誕生日だから
なにかプレゼント買うよ!


後、バイトの時給も上がったよ』


瞬間移動で一幸の部屋に来た悪魔に、一幸が満面の花のような笑顔で言った。


『おう、それはよかったじゃんか。


それよりお前、ずいぶん変わったよ、


今のお前から初めて会った時のお前は想像できないよ。


なんだか、いかす男、できる男になったよ、

なんかいかす男のオーラが、イケメンのオーラが
備わってきたよ。


きっとそのうち、新しい恋人できるぜ。


お前は原石からダイヤモンドになった様なものだよ』

と、悪魔。


『でも、今は、翻訳や会社のほうが楽しいから、いいや。』

と、一幸。


『そっか、それならよかったぜ!』
と、悪魔がほほ笑んだ。









それから一か月後。
一幸は真由美と復縁できた。

真由美のほうから、復縁を申し込んできたのだ。
なぜかって?

真由美はとある日、一幸の仕事先をたまたま訪れたのだが、
一幸が以前とは比較にならないほど、生き生きしてて精力的で充実感や頼り甲斐に満ちているのを見て、彼かなり変わったわ、と思ったのだ。

しかもその時一幸は、超イケメン社員の因幡正規君
一幸の何歳か先輩で
マドンナ的存在の湯浅孝子さんと、
吉崎克子さん、山本秀子さんにも、
『一幸君ってかなり、知的だよね、
実務翻訳の仕事も掛け持ってるなんて』

と褒められたのだが、真由美はそれを聞き、 
一幸頼もしい、いけてる男性になったのね、

一幸って頼もしい男性なのかもと思った。


それに、別れ話を切り出した時は気づかなかったけれど、
よく考えたら一幸は、
ギャンブルも借金ぐせも、モラルハラスメントも浮気もないし、まさにその4N(4なし)を満たしている、そんないい人なのに気付かなかったあたしは愚かで間抜けだわ、と思い、
ダメもとで復縁を申し込んだのだ。
(交際して間もないころ、真由美が一幸に、
自分はお裁縫下手なの、中高生の時、男子も女子も、お裁縫上手い人や服まで作れる人が、お裁縫の成績5段階の4から5取れる人が結構多かったから、内心ではかなり劣等感あったの、
それのことで
別に意地の悪いことは言われていないけど、
内心で気にしてたの、とさりげなくあかすと、
僕もお裁縫なんて、せいぜいボタンつけられるくらいで、それもようやくマスターできた程度だよ、
得意か下手か、別れる分野だからね。
何でも、下手よりなら得意な方が困らないけど、それぞれの人に良い面があるよ、それでいいじゃないか、
コンピュータやメカに精通してる人もいれば
大工仕事できる人もいるし
芸術や歌の才能ある人もいるし
漫画描ける人もいるし
たくさんの違う才能が集まってこそ世界は栄えて幸せなるんだよ、
100%完全な人間なんて、存在しないよ
と優しく励ましてくれたのだ)
すると一幸は快くオーケーした。


復縁から2年後、一幸と真由美は結婚し、教会で結婚式を挙げ、結婚式には悪魔や、嘉藤くんをはじめとする高校の時の友人や
大学の時の友人(須々田くんや下山くんや桜庭くんや井上くんや高坂くんや佐藤くんや大竹くん)、因幡くんも、参列した。


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