ミステリー

レストランを出ると〈悪魔が全額払ってくれた。悪魔の財布には万札がぎっしりだった〉、悪魔は自分の世界に瞬間移動で戻った。


一幸は自宅に戻ると、風呂の後に
とある大手翻訳会社の翻訳者採用試験のページへログインし、採用試験の問題を解いた。手応えはあったが、ミスや訳漏れがないかを何度も何度も念入りに確認する。


そして、日付が変わってからだいぶ経った頃、採用試験の送信ボタンを押し、パソコンの電源を切る。



変わろう。

あの子にはかなわない、あの子すごいや、で思われるように変われば、いじめられることやいじめることもないし、それに誰かに迷惑かけることもないだろう、それに、自分や
弱さや脆さに負けることもない。
あの子すごいやと思われるよう絶対、変わる、絶対変わるよ。




そして机の中から、田中の名前で書いた
３枚のハガキ（田中の名前で書いた、一幸の出身中学と田中の進学した高校や田中の出身小学校にあてた殺人予告と毒ガスサリンでの被害予告の手紙）
をビリビリに破り捨て
翌朝生ごみとして、ゴミ置き場に持ってった！
なんか心がスカッとした！
もちろん根は良いやつでもギリギリ極限まで追い詰められたら道に迷うかもしれない、そのことに偏見は必ずしも持ってない。が！


そんなことして無関係な人さ迷惑かけたら
いくらギリギリ絶体絶命の極限の危ない状態まで辛すぎて悲しみすぎたっていっても
田中らとなんら、変わらなくなるからだ、
その心の傷がどれほど不可説不可説転の不可説不可説転乗の不可説不可説転乗の不可説不可説転乗％以上ひどく深すぎでもそれを言い訳にはできまい！

変な気を起こす手前だったよ。
学歴や偏差値云々ではなく、
あと内申書があがったとかうんぬんではなく、
あとテストが良いとかではなくて、
人が悲しまないのか考えられて人の悲しみ苦しみがわかる人が，賢くて頭いいのさ！
一幸は痛感した。
こんな間違った立ち向かい方して、いじめた田中と同じになる手前だった。


一幸は、その当時担任から
テストだけでなく性格や人格を高めて、
と言われたことがあった、いじめた意地悪した田中がそう言われないことが悲しくて死にたくなるほど悲しすぎて悔しすぎた，死ななくて良かった！

数日後の午後。
バイトから帰ってきた一幸が、
パソコンを開くと、
翻訳者採用試験を提出した翻訳会社から
合格通知メールが来ていた。


メールには、その翻訳会社の翻訳者用のマイページのＵＲＬ、そこにアクセスするための
一幸のＩＤとパスワードも書かれていて、
給料の振込口座をメールでお知らせください、とも書かれていた。

一幸はメールの本文に自分の口座番号を書き、その翻訳会社に送信した。



『やった・・・・これで、翻訳家になれる・・・・』
と、一幸は大喜びした。


『それはよかったじゃないか。』

一幸の後ろから聞きなれた声。

『悪魔くん！』
一幸がほほ笑んだ。

今日の悪魔は、
Tシャツに短パンという
カジュアルないでたちだ。
イケメンなので、カジュアルな装いでもかなりイケメンである！


『スタートラインに立てて良かったな。
これでお前はいいほうに変わり始めるはずさ。』
と、悪魔が言い、一幸のベッドに座る。


『これも悪魔くんのおかげさ、ありがとう。ちょっとまってて』


一幸はキッチンに行き、冷蔵庫からふたつの
紙パックのココアを持ってくると、一つを悪魔に渡した。

『どもども。』

悪魔は紙パックのココアを数秒で飲み干し、からっぽになったパックを一幸の机の横のゴミ箱に捨てた。


『これから、カラオケかどこか行こうと思ってたんだけど、悪魔くんも行かない？』
一幸がさそうと

『ああ、面白いから行こうぜ。』

悪魔がベッドから立つ。