ミステリー
眠る王子様



とある国に、陽気で優しくて綺麗なお姫様がいました。
彼女も彼女の両親である王様とお妃さまも、国民からとても慕われていました。

その国は、誕生してから50年ほどの歴史の浅い国でしたが
とてものどかで平和でした。
(その国は、一つの国になる前は、様々な国や民族が融合して出来た一つの多民族国家の一部分でした。)


お姫様は18歳になった日から、毎晩のように夢を見ました。
それは、古いお城の一室で眠る、とっても魅力的でかっこいい素敵な王子様の夢です。


お姫様は王様とお妃さまと侍女に、その夢の話をします。

侍女が言いました。


『聞いた話なのですが、昔とある国の王子様が呪いをかけられて、眠りについたそうです。その呪いは、王子様を愛する人のキスで解けるそうですが、王子様が眠ってから、その国に凶作や災害が立て続けに起き、その国は滅びてしまったそうなんです。
本当かわからないのですが、
確か国のはずれのほうに、今誰も住んでない、古びたお城があるのです。』


侍女が話し終え、コーヒーを飲み、おからタルトとおからムースをたべます。
おからタルトとおからムースは
お姫様の作ったお菓子です。


『うーむ、ありそうと言えばありそうだが、単なるおとぎ話にも聞こえるね。


ま、確かに、本当ならばすごくロマンチックな話だが。』
王様が言い、お妃さまもうなずきます。

王様とお妃さまも、素晴らしい美男美女です。


『きっとその王子様よ、わたくしの夢に出てくださるのは!
行くわ、その王子様のところへ!』

お姫様は、決意します。


『もしかすれば、夢に出てきたその王子様が、姫の運命の相手かもしれませんね。わたくしも賛成です』
と、侍女。



お姫様は、決意を変えないという、芯の強さを持ち合わせてました。

王様とお妃さまは渋々承諾します。
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