ミステリー
あやめはその日、一日中
夢に出て来た女の子のことを考えていた。

あの子は、誰かしら。
あの子がわたしってどういうことかしら。


その夜。あやめが明日の予習をすませ、今ハマってる探偵小説を読み終わり、ベッドに入ると、すぐに夢を見た。


あやめの目の前に、羽の生えた、とても
美しい妖精が現れた。


あやめさん、とても綺麗に育ったのね。

あなたの望んだ通り、よかったわ。


妖精が、あやめに微笑んだ。

あやめは、その妖精の声を何処かで聞いたことがあると感じた。


「あの、わたしと妖精さん、どこかで会ってません?」

と、あやめが聞くと、
妖精が微笑んだ。


「そうね、会ってるわ。


わたし、およそ17年前、あなたが生まれる少し前に、
あなたに尋ねたの。

どんな容姿で、どんな容貌で生まれたいか。
そして、美しい女の人の画像をいくつか
あなたに見せた。

あなたがその中から、とびぬけて美しい容姿の女の人を選んだから、わたしはあなたにその女の人と同じ美貌を与えたの。」
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