ミステリー
「たーだいまー」


翌日の放課後、あきらが自室に入ると
あきらの机の上に、とても美しい妖精がいた。


「へ、君は誰?」


あきらは、妖精を見つめる。
また、俺、夢みてるのかな?


あきらは自分のほおをつねるが、夢ではない。
美しい妖精はあきらにウィンクする。


「ね、あなた、
今幸せ?」


「幸せだよ。」
と、あきら。


両親と、友達や親戚の人や、近所の人とも、楽しく過ごせてる。
些細な悩みとかを除けば幸せな方だろう。


「よかった。


あなた、前世のこと覚えてる?」


「前世?」

あきらが聞き返す。


「いきなりこんなこと言っても、信じ難いかもしれないけど、
あなた前世では、外国人として
日本で生まれ育ったの。」


「そうなんだ。」
と、あきら。
あきらは、友達に紹介してもらった、在日外国人の友達が何人かいて、みんなとても気さくで優しいいい人である。



「前世のあなたは、普通に自分を、日本人と思ってたけど、前世のあなたと、あなたの両親も、日本国籍を持ってなかった。
だからあなた、小学校で、いじめられたり冷たく当たられたり、冷たい視線を浴びせられた。


前世のあなたは、その国の人間として生まれたかったと思ってた、そして、またいじめララたら冷たく当たられたり、蔑まれたりするのを恐れて、自分の国籍を明かさないように暮らしてた。前世のあなたは82歳で、その生涯を終えた。そして、前世のあなたが亡くなってから、およそ9ヶ月後にあなたが生まれたのよ。」


「そっか。
昨日俺が見た夢って、前世の俺なんだ。」

「そうよ。」と、妖精。


「そっか、前世の俺、そんな悲しい日を過ごしてたんだ。
俺ずっとさ、日本人でよかった、日本で生まれて日本で暮らせてよかった、て思ってたんだ。治安いい方だし、サブカルチャーも優れてるし。

でもさあ、
人と何かが違うからって冷たく辛くあたられたり、蔑まれたりしたら普通悲しいよな。」
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