ミステリー
another story パート1,2
三年生の三学期が終わり、春休みに入った時期の、某日。
みりは、気晴らしに、近所の図書館に行った。
生憎この日は、朋子は家族でお出かけに行ったし、芽衣と涼子は、それぞれ親戚の家に行ったし、あすみなど別の友達も習い事とか用があった。
みりは図書館に入ると、ミステリコーナーに行き、気になってた東川敦也のミステリ小説を2冊手に取り、飲食が許されていてお菓子や飲み物の自販機もある、休憩室へと行った。
みりはミステリ小説を一つの丸テーブルの席に置き、自販機で紅茶とチョコレートバーを買い、丸テーブルの席についた。
「図書館て久々に来ると、リラックスして安らぐわ。東川さんのも、読みやすいし、さくっと楽しめるのよねー。
あら。」
みりの座った席の前の席に、知ってる女の子がいた。別の小学校に通う、同じ学年の牧野真里奈である。
みりは、去年まで通ってた、新体操教室で、真里奈と知り合ったのだ。今も、たまに手紙を交換している。
新体操教室では、陽気で元気だった真里奈だが、今日は明らかに、沈んでいて、顔色が良くない。
「真里奈ちゃん、久々。春休み、始まったよね。元気だった?」
みりが真里奈の席に行き、声をかける。真里奈ははっとして、みりのほうを向く。
「みりちゃん、久々。会えて、嬉しい。」
微笑んでそう答える真里奈は、元気ないのを無理に、隠してるような様子だ。
次の瞬間、真里奈は、泣き始めた。
止まらなかった。
みりは、やはり真里奈ちゃんの様子がおかしい、と思った。もしや‥
「真里奈ちゃん、もしかして、何か、あったの。もしや、いじめる最低な奴が、学校に、いるの?そういう奴最低よね、
そういう奴は一度同じ目にあえって感じよね!」
みりは、ポケットから、買ってもらったばかりのトトロのハンカチーフを取り出し、真里奈へ差し出した。
「ごめん、みりちゃん、あたしの周りでは、いじめる人は、いないんだけど‥」
真里奈は、ハンカチーフで、そっと両目を拭いた。
「昨日も、あまりに辛く悲しくって、自分の寝室で、1人で、90分以上、まくらが濡れるほど、ずーっと、泣いてたんだ。」
真里奈がゆっくりと答える。
「そうだったの、あたしでよければ相談乗るよ、あたしもその辛さと悲しさを、半分背負うわよ」
みりが自分の胸を拳で軽くたたく。
そしてみりは自販機で買った、チョコレートバーを持ってくると、開封して二つに折り、一方のチョコレートバーを真里奈へ渡す。
「辛さと悲しみは、半分こにすれば、100分の1未満になるんですって、
で、喜びはね、分け合ったら100倍以上になるんですって、じいちゃんが口癖のように、
よく言ってるわ。」
みりはそういい、自分のチョコレートバーをすぐ食べ終えた。