ミステリー

イケメンくんの神対応

春休みが終わる数日前。

朋子が、寝る1時間前、ママとテレビみていた。

今日のとある番組のゲストはあの、けんとくん。


明石屋さんたと、山崎静野、
黒鳥久美子と、久本マサミ、が司会の
この番組に、
「今日のゲストは、けんとくん!」
と、さんたがいうと、
けんとくんが入ってきて
大きい歓声に包まれた。
山崎静野も、目がハートに!!


「わーお、若い頃のパパりんそっくり!」
ママが顔を赤らめる。

「そ、そうなんだ?」
朋子は苦笑いする。

明石屋さんたが、
「えー、今日は、けんとくんの
中1の時のクラスメイトの
中澤太一くんって人から、
メッセージ届いてんですよ!
なんでも、当時大変だった
太一くんに、けんとくんが
助けとなれるよう取り計らってくれたそうですよ!」

といい、拍手とともに
画面が変わり、その中澤太一さんが映し出された。
良い人そう、優しそうな人で
さすが、けんとくんの友人、と
朋子は思った。
けんとくんの友達なら、良い人だよね!

「俺が、中学上がったばかりの頃
母が亡くなったばかりで、父は仕事忙しく、ほぼ家にいなくて、俺が
家事のほとんどや、二人の弟の送り迎えと子守してたんです。」
と、中澤太一さんが話しだす。


「両方の祖父母は、隣町に住んでるし
足腰も弱っててそんな頼れないから、
俺も父も無理して頑張ってました。

んで俺、よく遅刻早退したり
宿題や委員会の宿題、時々できなかったり
ましてや、授業のとき
居眠りしたことも、
全校の説明会で、外部からお話に来てくれた人が
体育館で、
話をしてる間も寝てしまったんです。」

と、中澤さん。

「んー、そうだったんだ、
居眠りしたり宿題わすれると、
俺がガキの頃
だらしないってレッテルはられたからなあ、つらかったんじゃないかな?」
と、明石屋さんた。


「クラスの子で仲良いコはいたけど
なかなかそのこと打ち明けれなくて。
んで入学から3ヶ月後に体育祭があったんすけど、
その体育祭の練習も、
ろくにでられなかったころ、
けんとが、俺が弟の送り迎えや
買い出ししてんのみて、
俺の相談に真剣に乗ってくれました。」
中澤さんはちょっと切なそうだ。


「で、けんとが、
翌日、クラスのみんなと、担任に、
俺が、弟二人の子守りや送り迎え、ほとんどの家事をしないとならないこと、
それで居眠りしたり、遅刻早退したりすることを、
そう伝えてくれて、
そしたらクラスのみんなが、
大変だったね、
学校いきながら、
家事ほとんどや送り迎えするって大変だよね、
その事情、知らなくてごめんよ、
そんな大変なんて気がつかなくてごめんよ、て
俺が、その日、教室入ると
みんなが、半泣きでそう言いました。」
中澤さんは、涙目でいう。

「俺が居眠りや、社会の授業の時上の空でぼーーっとしてて、社会の大塚先生に怒られた時や
委員会や係りの仕事の宿題できなかった時に
なぜあいつだけサボれるんだ?
あいつだけなぜさぼれるんだ??て、
クラスや、委員会の一部のコが、陰で聞こえるように言ったことがあるんです。
けんとが説明してくれて、その子らも
そんな事情知らなかったからごめん、
よく考えたら学校行きながら
ほとんどの家事も、弟さんらの面倒みるのも、
大変よね、て。



そんで、体育祭の5日前、
クラスのみんなが、
中澤くんも練習できるように
休み時間とか練習やろう、
又は弟さん連れてきて見学してもらうとか
みんなで弟さんと交代で遊びながら練習やろう、て、あと、家のこともなんか協力できたらするから、て、みんなが言いました。

担任も、
大変だったな、
気がつかなくて悪かった、て。


その、けんとが説明してくれた日をきっかけに
クラス全体の雰囲気自体、それまでとは
比較ならないくらい、優しくなりました。

クリーニング屋のコが、
格安で親の家のシーツやワイシャツクリーニングしてくれたり、レストランや料亭のコが
余ったごはんわけてくれたり、
あと、けんとの祖父母が、
弟らを、俺が学校終わるまでみてくれるようなったり、
おれ、けんとが助けてくれたことは、虹の橋渡っても絶対忘れないよ。

だって普通
委員会の宿題や、宿題忘れたり
居眠りしたり
授業でぼーっとしてたり
よく遅刻するやつ
普通、だらしなく見えて誤解されるのに
実際、学習委員の時
俺だけ宿題やれなかった時
委員会の一部の子が
あいつだけするい、みたいにこそこそいってたし!


けんとは、
はなからサボり人間とか、
だらしない怠け者、とか俺をきめつけないで、
俺の相談乗ってくれて
みんなさ、事情説明してくれて
弟の面倒まで、けんとの祖父母がみてくれたり。」

中澤さんは、言い終わると泣いた。

「あのときけんとが
クラスのみんなに説明してくんなきゃ、
俺、怠け者とかサボり魔とかだらしないとか
委員会の宿題や宿題やらなくてもなぜあいつ
だけゆるされるんだ?とか
思われ、クラスで浮くところだった。


実際、俺も、母が亡くなる前は
学校いきながら
子守りや家事のほとんどをする
大変さわからなかった
だから俺も
そういうやつのこと
だらしねえなあ、とか
なぜあいつだけが、宿題とか忘れたり
居眠りや遅刻して許されんだ??て、
誤解したかもしんない。


おれ、けんとが助けてくれたことは
忘れないと思う。


けんとのじいちゃんばあちゃんも、
けんとのお友達ならあたしらの大事な孫だよって
俺にも弟にも
実の孫に対してみたいで、弟達や俺に
クリスマスプレゼントやお年玉くれたり
俺や弟らに
手作りケーキもご馳走してくれたっけな。

で、体育祭の日、
けんとのご家族と俺の家族で弁当食べた時
父さんがけんととご家族に
どれほど俺らが世話なってるかわからない
本当ありがとうございますって」

「けんとくんって優しいな!」
朋子とママも、泣いていた。


「けんとくんは、
ひとに、傘をさしてあげられるひとなのね!」
静野が泣いていう。


「いやーん
けんとくんって
性格からしてイケメンなのよねえ!」
と、黒鳥久美子。


ちなみにその体育祭が終わった頃
中澤さんと同じ学習委員で
隣のクラスの桜木由香里さんが、
中澤さんに謝ったのだ。

「ごめんなさい中澤くん、
けんとくんから、きいたの。

弟さんらの送り迎え、ほとんどの家事しながら学校行くってだけで大変よね。

あたしはせいぜい、
休日の朝食作りと洗濯干し
担当するくらいだわ。
将来素晴らしき殿方と結ばれるときの
家事修業でね!

だけど毎日家事のほとんどして、
弟さん二人も送り迎えして、学校いくって
普通に考えて
あたしの比ではないほど、辛いし苦しいわ!
なのにそんなことしらなくって、
なぜあいつだけサボれるのかしら、宿題しなくても許されんのよ、なんて
酷い言い方してごめんなさい!

あたしだってうっかりしてて小6の頃
安全委員会の集まりに行くの忘れたこと
2回あったわ、
あたしの方がうっかりしてんのに、
あたしのほうだってうっかりくらいあるのに、
うっかりやミスは誰でもあるのに
、自分のことは棚上げで
えらそうに、ごめんなさい!」

桜木由香里さんは
もう一回丁寧に
中澤くんに謝った。
彼女も泣きそうだった。


中澤くんは
すんだことはいいから、
と、桜木由香里さんを許した。
本当は、桜木、悪いコじゃないんだ。
本当は、悪いコじゃないんだ。
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