ミステリー
『昇さん…』


『美紀ちゃん…』


今度は互いを見つめ合う
昇と美紀。


そのとき。
長女が泣きはじめた。


『あら!』
昇と美紀がベビーベッドまで
歩いていく。

美紀が長女を抱っこし、
昇は長女をあやそうとする。

が、泣き止まない。


妖精はにこりと笑い、
『赤ちゃんて、必ずこういう時期はあるの。
どうってことないわよ。
まるで世界中の台風が来たかのように、ただギャンギャンと泣く時が必ず、あるのよ、
一つの通過点なのよね。
パパママの愛情でね、毎日、
安心させてあげましょう。』
という。



長女の表情が、少し安心した表情になった。
しかしまだ泣き止まない。


すると妖精は、大人の昇と美紀でも
不思議と心から癒されて安心するような、
二人が未だかつて聞いたことのない
とても安らかな歌を歌い出した。


次第に長女が泣き止み、
きゃっきゃっと笑い出す。

『ああ、すごい!』
昇。
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