ダイヤモンドの未来
午前中は、本を読んだり、テレビ見たりして過ごすが、落ち着かず、全然頭に入らない。

昼過ぎになり、母が来た。

まだ、面会時間ではないが、入れてもらったらしい。

そこへ、「失礼します。」と先生も入ってきた。


「泉川さんのご家族の方ですか?」

「母です。お世話になっております。」

「担当医の澤田です。この後の手術も執刀します。」

「よろしくお願いします。」

「まさか、ピンが抜いてないなんて。高校生だったし、病院には行ったと言っていたから。
私も、バタバタしていて。
すみません、お願いします。」

元来、母は明るく、よくしゃべる。

先生がイケメンで張り切っている感じもする。

軽い暴露に、小さくなる私。

「泉川さん、調子はどう?」

「大丈夫です。」

お決まりの返答に苦笑される。

「手術自体は、一時間ほどで終わる予定ですので。」

「はい、よろしくお願いします。」

私と母は、頭を下げた。

入院してからは、周りに常に人がいるから、先生は「香江ちゃん」とは呼んでくれない。

それが寂しいなぁと、不相応にも思ってしまう自分にブレーキをかける。

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