ダイヤモンドの未来
消灯が過ぎ、だんだん左足が重くなり、痛みを感じるようになってきた。

眠ろうとするが、眠りは浅く、次第に眠れなくなる。

12時頃、看護師さんが見回りに来たのが分かる。

思わず身じろぎしたが、起きているのには気づかなかったのか行ってしまう。

ナースコールしようかと思うが、この時間だし…。

迷っていると、病室のドアが静かに開き、ベッド横のカーテンを持ち上げて、先生が入ってきた。


「痛い?」耳元で小さな声で聞かれる。

頷く。 

「点滴追加するから、少ししたら落ち着くと思うから。」

先生は、腕に確保されていたルートに小さな点滴をつないでくれた。

先生に点滴してもらうなんて…。

先生は、ベッドサイドの椅子に腰掛けた。

「おやすみ。」と囁き、目の上に手を乗せてくれた。

つられて、目を閉じる。

さらっとして温かい…

最初の診察の時と同じ手。

安心できる、大きな手を感じながら、眠りに落ちた。


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