ダイヤモンドの未来
頷いて下を向いたままでいると、顎が軽く持ち上げられる。

先生の顔が近づいて、ふと笑った優しい笑顔にもう限界で目を閉じたら、唇が重なった。

あったかい…柔らかい…

ゆっくりと触れられて、一度向きが変わって、ゆっくりと離れた。

離れていく先生の顔を目で追う。

ふっと肩の力が抜けたのに気づいたのか、

「緊張した?」

「ドキドキしました…病院だし。」

「病院は初だな。」

ふと漏れた先生のつぶやきに、
えっ!て顔をしたらしい。
頬を軽くつままれた。

「患者さんにキスしてるってことだもんな。
ドキドキするな。」

全然ドキドキしてなさそうな余裕な顔だったけど。

先生にぎゅっと抱きしめられて、目の前は術衣の濃いブルーで染まった。

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