ダイヤモンドの未来
救外の診察室に入り、患者用椅子に腰掛ける。

先生がパソコンを操作し、先ほど撮ったレントゲンを画面に映し出す。

ちらっと画面を見ると、ピンが二本写っているのが分かった。そして、うつむく。

先生がこちらを向いているのは分かるが、顔は上げられない。







「香江ちゃん」

いきなり、名前で呼ばれ、顔を上げると、
イタズラが成功したような、先生の笑顔があった。大人で穏やかというイメージとはちがう表情。


「香江ちゃん、いくつか聞きたいことがあるんだけど」

そして、改まった医者の顔をする。

「言いたくないことがあるかもしれない。
答えられないことは、無理しなくてもいいから、嘘をつかないって約束してほしい。」

と、しっかりと目を合わせてくる。

「香江ちゃん、嘘をつかないって約束できそう?」

と、子どもに言い聞かせるようゆっくり繰り返す。

「…はい。」

と答えるしかなかった。




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