ダイヤモンドの未来
まさか、動けないなんて。そんな反応をしてしまった自分に愕然とする。
もっと、なんとかなると思っていた。
確かに、術後は医者にかかるのはできる限り避けていた。どうしても必要なときは、遠くても、女医さんにかかっていた。

薬剤師になって、毎日、病院にいて、白衣なんて見慣れてて…。医師とも業務の話しはできていたのに。

レントゲン室では、次々とやることがあって、医師の診察という感じではなかった。なんとか、普通に話せたのに。

先生があの時の医者とはちがうということは分かっているはずなのに。

事故とその時の主治医が私に残した影響は、大きいとは思う。

ただ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、病院に通って診断名がつくレベルではないのではと、自分勝手に判断していた。日常生活はそれなりに送れていたし、フラッシュバックが繰り返し起こることはない。もちろん、思い出すことはあるけれど…。

それとフラッシュバックが何が違うのかと言われたらよく分からない。ネットで検索すれば、色々な情報が溢れている。自分も医療従事者だから、読めばある程度、理解できるだろう。ただ、それを見るのが怖かった。

自分は大丈夫なんだと信じ込みたかったのかもしれない。

こんな風になるなんて。

もちろん、それは先生にも伝わっているだろう。迷惑をかけているという気持ちも、どんどわ膨れ上がってくる。
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