ダイヤモンドの未来
先生の家は、やっぱり立派なマンションだった。薄茶色の5階建てくらいの高さ。1階に美容院が入っていた。

駐車場は地下で、エレベーターに乗ると、先生は階数の押しボタンの下にある鍵穴に、鍵を差し込んだ。不思議そうにそれを眺めていたのがばれたのか、先生が説明してくれる。

「駐車場からエレベーターに乗るときの、オートロック替わり。一階の入り口はオートロックだけど、駐車場から直接エレベーターに乗るときは、鍵差し込まないと階数ボタンが反応しないんだ。」

「すごいですね。」

「俺も最初、驚いたけど。」

そんな話をしながら、エレベーターは三階に着いた。先生は一番奥の部屋の前で立ち止まり、鍵を開けた。

「どうぞ。」

「お邪魔します。」

外観も新しい感じがしたけど、中もとてもきれい。廊下を進み、ドアを開けると左にカウンターキッチン、その奥がリビングだった。うちに比べたら十分広いけど、思ったより広すぎないリビングにほっとした。隣に引き戸があり、奥に部屋があるらしい。先生は引き戸を開けた。

「こっちが、寝室だから、自由に使っていいから。荷物ここ置くな。」

「…はい。」

寝室をご自由にと言われても、なかなか難しいけど。

「少し、何か食べられる?昼の分の薬も飲んだ方がいい。」

「はい。」

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