ダイヤモンドの未来
「朝はごめんな。」

「あっ、えーと、私が悪いし…えーと、それに…」


バスの中で思ったことを伝えたいが、うまく言葉に出来ない。

先生は私が話すのを待っていてくれる。

先生は優しい。私が、うまくしゃべれないとき、医者として必要ならば、イエスかノーで答えやすいような質問を投げかけてくれる。

今みたいに、私が話したいけど、うまく言えないときは待ってくれ、話しやすい雰囲気を作ってくれる。

人の話を聞くって、難しい。

医者の立場だと、限られた時間で結論を出さなきゃいけないことは多いだろう。

だけど、先生と話していると、急がされた感じはない。

それに、自分が納得した形で話している気がする。

結局、先生の意向通りになってることも多いけど。

患者さんに人気の理由もそうなのかな…。

そんなことをふと思いながら、まとまらない言葉を紡ぐ。

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