ダイヤモンドの未来
「ホントはオペ以外の選択肢も提示したいけど。

それ以外は、今の痛み止め飲んで現状維持しかないかな。

痛み止めけっこう飲んでるよな?

胃もつらそうだし。」

「どうして…?(分かるんだろう)」

鎮痛剤は飲み過ぎると胃を傷めることがある。

私も胃薬は飲んでいるが、かなりつらい。

「時々、胃の辺りを触ってるから。」

無意識だった。

鋭いなぁ…患者さん達が先生を慕う理由が分かった気がした。


「鎮痛剤と胃薬は出しておくけど、手術どうする?

他の先生の意見も聞いてみる?」

「考えさせて下さい。」

それしか言えない。

「分かった。」

というと、先生はポケットから名刺を取り出し裏に何か書き込んだ。

「これ、プライベートの連絡先。

何かあったら連絡して。

病棟で会うけど、話しずらいかもだし。

あっ、やっぱり、もう遅いから、家に着いたら『無事着いた』ってメールして。

そうしないと、ずっと連絡くれなそうだし。

メールくれないと心配しちゃうよ。」

と先生は、イタズラっぽく口角を上げる。


私が、じっと名刺を見ていると、

「言っとくけど、患者さんみんなに連絡先配ってないからな。

初だから。」

と慌てたように付け加えた。

< 24 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop