ダイヤモンドの未来
「香江。」

突然、名前を呼ばれる。

「俺のこと、心の中でも、先生って呼んでるだろ。」

そうだった!平日で仕事の後だし、全く意識してなかった。

「いっぱいキスしてもらおうかな。

誕生日も教えてもらえないしな?」

「あっ、えーと…」

慌てて、運転する先生の横顔を見る。

すると、フロントガラスから視線を逸らさないまま、左手が頭を撫でてくれた。

「分かってるつもり。

色々考えたら言えなくなった気持ち。

だから、悪いのは確認しなかった俺だから。

日曜に何か言いたそうだなと思ったんだけど、聞けばよかったな。

なぁ、一般論だけど、彼氏に誕生日祝ってもらいたいと思わなかった?」

「…思いました。」

車の中、先生が運転中だと、じっと見られないために、素直に話せる気がする。

「よかった。

来年は、当日にお祝いしような。

忘れないから。」

「えーと、仕事じゃなかったら、お願いします。」

先生は、私の頭をクシャクシャ撫でた。


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