ダイヤモンドの未来
翌日、病棟でカルテをチェックしていると、

「今日から、整形外科病棟の担当になりました、薬局の泉川です。
よろしくお願いします。」

と声をかけられた。

「よろしく。」

と答える。

緊張したような笑顔を浮かべ、少し離れたところに立っている。
化粧が濃くて、妙に距離が近いナースに比べ、薄くて遠いなという印象だった。

身長は平均的、痩せていて、黒い髪を、後ろでひとつにまとめている。

それ以上話すこともなく、業務に戻ろうとした。

そのとき、後ろから、

「香江ちゃーん、今日からよろしくね。」

と、看護師の真美の声がする。

「あっ、真美さん、よろしくお願いします。」

と、笑顔を浮かべる。

安心したような心からの笑顔は可愛いと思わせるものだった。

真美が、こちらを向く。

「澤田先生、香江ちゃんよろしくお願いしますね。
私の高校のときの、部活の後輩なんです。」

「へぇ。世間は狭いな。」

「ホントですよね。」

彼女は真美の勢いに押され、しゃべることなく、その場に立っている。

「真美さん!」

他のナースから呼ばれた真美が去ると、彼女も会釈をして、他の先生へ挨拶へ向かった。

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