ダイヤモンドの未来
「手作り?」

「あっ、えっと、キットなんですけど…」

「キット?」

「あの、もう材料が揃ってて、混ぜて焼くだけというか…」

手作りです、と言えばいいのに、余計なことを言い募ってしまった私。

「作ってくれたんだ、ありがとう。
一緒に食べる?」

「…」

「3つあるし、1個ずつ食べて、もう1つは明日、食べるから。」

「はい。」

先生が1つ渡してくれた。

先生の手が、ラップを剥ぐのを見つめる。

食べる口元までは追えなくて、自分の手元のブラウニーに視線を戻す。


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