ダイヤモンドの未来
「ふふっ」

と小さく笑った先生が、私の頭を抱えて、肩にもたれさせてくれる。

一瞬こわばった体から、意識して息を吐いて力を抜く。

「今日近いね。」

気づいてくれた先生の言葉にうれしくなる。

先生は私の髪を、人差し指に巻きつけてはほどくのを繰り返していた。

「いい匂い!」

「あっ、シャンプーとかお借りしました。お風呂もありがとうございました。」

「いちいち、お礼はいいよ。自分の家と同じように使って。そういえば、シャンプー終わりそうじゃなかった?」

「いちお、ありましたけど、少なそうでした。」

ポンプを何回か押したら出てきたけど。

「香江、シャンプー、こだわりある?」

「あっ、今はリンゴの使ってますけど。」

「そういえば、赤い丸いやつ?」

「はい。」

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