ダイヤモンドの未来
残された私は、慌てて、

「すみません、お願いします。」

と澤田先生に頭を下げる。

「こっちこそ、急にごめんな。」

と先生。

「こっち。」

と車の方へ案内してくれる。

ついた車は、予想外に国内メーカーのものだった。

外車ではないのが意外だった。

病院の駐車場、職員出入口近くは、もちろん、医師の場所だ。

入口に一番近いのが院長、その隣が副院長。

それ以外は特に決まっていないらしい。

外車の展示会場のように各社取り揃えて、並んでいるのがいつもの光景だ。

先生の車は、もちろん有名な一流メーカーで車の名前は知らなかったけど、SUV車っていうんだっけ、スポーツ好きな人が乗っていそうな黒い車だった。

「車高高いけど、足大丈夫?」

と先生が助手席のドアを開けてくれる。そんな気遣いに、

余計に緊張し、右足に力を入れて乗りこむ。

< 44 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop