ダイヤモンドの未来
「泊まりの荷物?」

と後部座席に置かせてもらった荷物を先生が振り返る。

私は普段のバックの他に大きめな荷物を持っていた。

「はい、でも、泊まらず帰るんで。」

海藤先生がいるなら、泊まれない。

「帰りも送るよ。」

「あっ、えっ、大丈夫です。真美さんのマンションから近いですし。」

「ホント?」

「はい。」

徒歩10分くらいだけど。

足が痛いから、もっとかかるかもだけど。

真美さんのマンションとうちは病院を挟んで逆側にある。

もちろん、それは言わない。

が、続けられてしまう。

「その足で?」

「…大丈夫です。」

「大丈夫、得意だな。

その荷物、必要なければそのまま車置いときな。
帰りは送るから。」

そう言って、助手席の私の顔を覗き込んだ。

有無を言わさない強い瞳に押され、

「お願いします。」

と頭を下げた。

荷物の中から、持参した食材が入ったスーパーの袋だけ出し、車を降りた。
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