ダイヤモンドの未来
PHSが振動する。

「泉川さん、お待たせ。外来どうぞ。」

外来の堀師長の声がした。

師長は、母くらいの年齢で、はきはきものは言うが、外来担当らしく、人当たりがとても柔らかい。


「はい、行きます。」

師長にも、何度か予防接種を打たないかと、そして、足の受診をしないかと言われていた。その度に、曖昧に流していた私。

申し訳ない気持ちとともに、
足を引きずりながら外来へ向かう。



外来は、患者さんは見当たらずひっそりしていた。

看護師の姿も見えない。

外来看護師は夜勤がないため、小さいお子さんがいる人も多く、早く帰る人も多い。

患者さんがいてはと思い、診察室の脇、処置室側から診察室の裏へ回る。

師長が気づき、

「ここに入って。」

と第一診察室に呼ばれる。

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