ダイヤモンドの未来
先生がいた。

白衣を脱いで、ワイシャツにネクタイ姿。
白衣を着ていないと、また印象が違う。

捲った左袖をおろしているところだった。

注射を打ってもらった後らしい。

立ち上がって、バサッとと白衣を羽織る。

そして、後ろを振り返り、私を見ると、笑顔で

「遅くなってごめんね。」

と声をかけてくれた。

「おつかれさまです。」

小さい声になってしまったが、頭を下げる。

「先生、すみません会議なんで。インフルここ置いときます。
あとお願いしていいですか。」

師長が先生に呼びかける。

「はい、おつかれさまでした。

会議遅れてすみません。」

「いーえ、先生の外来だって言えば、文句は言われないから。」

「泉川さん、ちゃんと診てもらってね。」

と最後に私に声をかけ、言ってしまった。


< 76 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop