ダイヤモンドの未来
ハンドタオルを両手で顔に押し当てた私。

「ごめん、左手だけ貸して。」

そう言うと、先生は左腕をつかみ、カーディガンを左腕だけ、そっと脱がせてくれた。

そして、半袖のケーシーの袖を捲り、アルコール綿で肩の下あたりを拭かれた。

そこがひやっとして身体がビクッとした後、
先生に左腕をつかまれ、
また一段とビクッとしてしまう。

「深呼吸できる?」

そう言われ、何とか息を吸い込み、吐いた瞬間、左腕にチクッと痛みが走る。

「えっ??」

と小さな声を出し、思わずハンドタオルをずらして先生を見る。

確信犯的な笑顔だった。

「息吐き終わったら、また緊張しちゃうだろ。」

確かに…息を吐いてリラックスしたところで、刺されると思っていたから、吐き終わったら身構えてしまうかも。

先生は、止血のテープを貼り、カーディガンに腕を通してくれた。

「…すみません。」
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