ダイヤモンドの未来
家に着いて、スマホをバックから出し、コタツの上に置くと同時に振動し出した。

忘年会だったから、音を消していて、誰だろうと画面を見ると先生だ。慌てて通話に触れる。

「おつかれさまです。」

「おつかれさま。今どこ?」

「あっ、家に着いたところなんてすけど。」

先生の電話も静かな場所からかけているようだ。二次会じゃないのかな。

「そうか。入院の日なんだけど、朝、俺の車に乗っていかないか?荷物、結構あるだろう。」

「えっ、でも…」

確かに、荷物は多い。どうしようかとは思っていたが、駅まで出て、バスで行くしかないと諦めてはいた。足が痛くなっても、しょうがないと。先生は大学病院の近くに住んでいるから、かなりの回り道になってしまう。

「その足じゃ、大変だろう。少し早い時間でよければだけど。」

「えーと…」

「7時半くらいに行くけどいい?」

「…お願いします。」

うまく遠慮できない私。

内心はうれしくて、ありがたいのにそれもうまく伝えられなくて、押し切られほっとした。


先生が、忘年会で話せなかったから、酔った勢いで二次会にも行かず、電話してくれたとは思いもよらなかったけれど。
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