恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜

恥ずかしいのか頬を染め唇を噛む美鈴。


「…………」


「…体中…触って…キスして」


「それでいいんだな…」


俺は笑みを浮かべ、焦らすように彼女の

身体中に触れるだけのキスをいくつも落

としていく。


時折、首筋に唇を這わせ肌を強く吸う。


声を荒げ、乱れていく美鈴の体は熱く、

白い肌が薄っすらとピンク色に色づく。


つけた華がいくつも赤く咲き、灯りの下

で浮かびあがっていた。


乱れている美鈴は、とても色っぽく俺を

誘う。


「どうしたんだ⁈」


「どうして触ってくれないの?」


「望みどおり身体中触ってるけど、何が

不満なんだ?」


「うそ…だって…」


口を閉じ涙が頬を伝う。


辛いのだろう……焦らされ、自分で欲情

を紛らしてるのだから。


優しく抱いてやるものか。


俺をお前の記憶に刻むまで離しはしない

首に手を絡めてくる美鈴。


その手を力強く解き、ベットに押し付け

る。


声をあげ、身体中が震える美鈴。


「…まだだ。まだ終わってないからな」


美鈴をそのまま反転させそして、後ろか

ら美鈴を乱していく。


息を乱し朦朧とする美鈴の唇にその手で

触れ、うなじを甘噛みする。


お前は、誰に抱かれているんだ。


俺だろう…


1度も名前を口にしない美鈴に苛立つ。


「あっ…痛い」


「何を考えてる⁈お前を抱いてるのは俺

だ。浩輔じゃない」


「……わ、わかってるわよ。」


「なら、名前を呼べよ」


「…だい‥すけ。……あなたが…」


俺は美鈴の唇を塞ぎ、言葉塞いだ。


それ以上の言葉は聞きたくない。


どうせ、俺を嫌いだと言うのだ。


そのまま、美鈴が意識を失うまで抱いた




俺は美鈴に寄り添うように抱きしめる。


(こんな抱き方しかできなくてごめん。)


肩までシーツをかけてやり、しばらく美

鈴の顔を忘れないように見つめた。


もう、会うことはないだろう。


叶わない恋をする美鈴。


そんな美鈴に俺も叶わない恋をした。


2人の思いは相容れない関係なのだ。


できることならきれいな思い出にしたか

った。


でも、そんなのは一瞬の幻で終わる。


心の奥底にひどい男でも残っていてほし

い。


そうすれば永遠に美鈴の心にいることが

できるはずだ。
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