恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜
姉が浩輔さんに確かめた。
「あぁ」
「コンフォルト…」
あの人は、浩輔さんと兄弟なんだ。
驚く美鈴に姉がにやつく。
「確か、コンフォルトに素敵な人がいた
って言ってなかった?」
「まさか、大輔じゃないよな⁈」
赤面する美鈴に、浩輔さんが問う。
「そうです…」
「それで、さっき驚いてたのか!」
「なに、美鈴。大輔くんなの⁈」
「うん…最初、本当にそっくりで驚いた
の。でも、私の知ってる人と違う気がし
て…名前も浩輔さんって言うし、もしか
したら兄弟なのかと思って…浩輔さんと
双子なのね」
「そうなんだ。本当に見比べても違いを
わかる奴ってなかなかいなくて、女で凛
が初めてなんだ」
「お姉ちゃんが⁈」
「当たり前じゃない。私が好きなのは浩
輔なのよ。同じ顔だからって癖とか、ち
ょっとした表情って違うのに、本人達だ
ってわかってないんだから、どっちが浩
輔か当てろって言われた時は、頭にきた
わよ」
「あの時は悪かったって…今までの女っ
て俺たちのどっちでもいいっていう奴ば
かりだったから、言い当てる凛を大輔も
認めてくれたんだよな」
「本当に会うたびにどっちが浩輔か当て
ろって言うんだもの」
「もう勘弁してくれよ。なぁ、凛」
私の存在を忘れ、いちゃつく2人に咳払
いをする。
『う、ううん』
「…美鈴ちゃんも俺たちの区別つくんだ
よね」
話しを戻した浩輔さん。
「はい…はっきりとは言えませんけど」
「なら、大丈夫かな⁉︎応援するよ。頑張
ってみたら…」
なにが大丈夫なの⁈
不思議そうに見ていると姉がにやつく。
「大輔くん、ちょっと俺様なところある
けど、美鈴みたいな気の強い子タイプだ
と思うわよ。ねぇ、浩輔」
「そうだな…あいつにはむかってぐらい
じゃないと気を引けないだろう」
2人は、なにやら楽しそうに微笑んでい
る。
不安がよぎる美鈴。
何か企んでるのか2人は、どんどんと話
を進めていった。
「美鈴ちゃんと大輔って、どこまでの知
り合い?」
「どこまでって言われても、お客と店員
というだけで特別、気にかけてもらって
る訳でもないです」
「そうか、でも、あいつが始めてのお客
にサービスするってことは、きっとタイ
プなんだよな。まずは、あいつに覚えて
もらえるように俺たちと店にでも行くか
な⁈どう思う…凛」