恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜
大輔さんが、私を見つめる。
「よろしくお願いします」
姉と浩輔さんがクスっと満足そうに笑っ
た。
「それじゃ、飯でも食べてくか⁈」
浩輔さんの後に続けて姉と私は奥の席に
座った。
食事を頼み、待ってる間中2人にからか
われ、赤面するばかりだった。
「大輔の反応、面白かったよな」
「うん…美鈴の言葉にムキになって『俺
の妹も同然だ。よろしくな…』だもんね
。
なにがそんなに楽しいのだろう⁈
「『ふーん』とか『あっ、そー』だと思
ってたら、あいつがよろしくなんて言う
から驚いたよ」
「絶対、脈ありね」
それは普通の挨拶だと突っ込みたかった
が、私をおいて盛り上がっている2人に
言っても無理だと諦めた。
「ほら、大輔が美鈴ちゃんを見てる」
そんなわけないじゃない。
もし、振り向いて目が合ったらと思うと
恥ずかしくて振り向けない。
「もう、なに恥ずかしがってるのよ。浩
輔は平気なのに大輔くんを見れないなん
て…浩輔の顔で慣れるしかないわね」
「おい…凛。お前、俺が困るの楽しんで
るだろう」
「わかった…大輔くんにヤキモチ妬かせ
るためなんだからひと肌脱ぎなさいよ」
それからというもの、2人に呼び出され
コンフォルトで待ち合わせするようにな
ると、自然と大輔さんとも話ができるよ
うになった。
でも、目を合わせてしゃべる事ができず
、視線をずらし口元や目尻付近を見てい
ると浩輔さんと大輔さんの違いに気づい
た。
声も、大輔さんの方が少しだが低く、上
からしゃべる言い方をする。
姉に2人の違いを報告すると『これで完
璧ね』っと頷いていた。
いつものようにコンフォルトで待ち合わ
せしていると、姉から都合が悪くなった
と連絡があり、1人でお店の前でさまよ
っていた。
壁には、求人募集のポスターが貼ってあ
り、彼に近づくチャンスだと思ってたら
突然、声をかけられ戸惑った。
「3人一緒じゃないなんて珍しいな…」
「‥そんな毎回一緒ってわけじゃないん
だけど、そう見えるの?」
「あぁ…お前はお邪魔虫だけどな…」
そんなことわかってる。
「それより、お前は店の前でなにしてる
んだ?」