恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜
「私、お姉ちゃんと暮らしてたでしょう
。部屋の名義お姉ちゃんだから浩輔さん
と一緒に済むのに解約してたの。急に部
屋探さなきゃいけなくって困ってたら、
大輔のおじいさんが格安でこのマンショ
ンの一室貸してくれて…」
「‥チッ、いつの間に…爺さん、お前の
こと気に入ってたからな。お前を首にし
た時すごい剣幕で怒られたよ」
「その後だと思う。…オーナーから連絡
あってすぐに引っ越したの。少しでも大
輔の側にいたくて…」
「まったく会わなかったのが不思議だよ
。よく、隠れていたよな」
「時間的に会わないでしょう⁈」
「こんなに側にいたなんて…他に隠し
てることはないよな?」
「うん…」
「ならいい…だけど、お仕置きだ決定」
「なんでよ」
「俺の気がすまないからに決まってるだ
ろう。どんな答えだって納得できないけ
どな…」
「うそ…」
俺がどんな気持ちでいたと思ってるんだ
。それなのに、こんなすぐ側にいたなん
てありえないだろう。
「来いよ…」
不敵に笑みを浮かべる大輔。
唇を噛み、大輔に従うしかないと思う美
鈴だった。
席を立ち、大輔の前に立つ美鈴。
大輔は、美鈴を膝の上に横向きに抱き寄
せる。
「さて…どんなお仕置きがいい?」
「……どんなっていくつあるの?そんな
悪いことしてないわよ」
「そんな悪いこと⁈ わかってないな…
そんな問題じゃないだろう。」
「それ大輔の勝手じゃないの」
「悪い子にはちゃんとお教えないと。
1…いぬ。2…ねこ。3…鳥。
どれがいい?」
「なに‥それ?」
「どれ?」
「………ねこ」
「俺がいいって言うまでは、お前は俺の
前で【ねこ】として過ごせよ」
「…意味がわからない」
「ペットとして買ってやるよ」
「…………」
呆れた美鈴は大輔の強引さに観念したの
か、ただ、黙っていた。
「まずは、ノラ猫を綺麗にしないとな」
「なんでノラ猫?」
「拾ったから…」
「拾われてない。私が大輔を捕まえたの
よ」
「そうだったか⁈あの時、酔っているお
前を俺が追いかけたから今があるんだろ
う。なら、お前を拾ったのは俺だよな」
「……ウッ〜悔しい」
「フッ…さあ、ノラ猫を綺麗にしよう。
まずはシャワーだよな⁈」
美鈴を抱き上げ浴室へ向かった。