恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜

美鈴side


合コン当日


コンフォルト


「お待たせしました。」


「俺たちも、今来たところだから気にし

ないで…食べ物はお任せで頼んでおいた

から飲み物選んでくれる⁇」


この間のカウンターの男が飯島さんらし

く、目が合った。


意味有りげに微笑む。


各自、飲み物を口々に言うとまとめて飯

島さんが大輔を呼び注文する。


合コンにいる私に興味ないのか、冷静で

いる大輔が憎らしく見つめていたら、視

線を感じた大輔と目が合った。


それでも、動揺さえもしない。


昨日のキスは夢だったのではないのか?

触れた唇に残る大輔の感触が忘れられな

い。


カウンターの向こうでドリンクを作って

いる大輔が気になり、話に乗り遅れてい

ると誰かが言い出した。


「ミス七夕って誰かな?」


今日、ここに来た目的を思い出し話に参

加した。


「当ててみて…。当たったらミスを独占

させてあげる」


「そうだな…奈々ちゃん。違う⁈」


飯島さんが当てたが、早希ちゃんとの打

ち合わせ通りなのだろう。


奈々ちゃんと藤原さんをくっつけるため

にこの合コンをセッティングしたのだか

ら…。


「へぇ〜、奈々ちゃんね…」


藤原さんは、笑っているが明らかに目が

座っている。


場の空気が悪くなり、話を切り出す。


「さぁ、飯島さん。松井さんの横の席

に座って下さい。」


私は、早希ちゃんとの打ち合わせ通り藤

原さんの横に座り、奈々ちゃんを煽るの

が私の仕事。


藤原さんに寄りかかりベタつく。


私が頼んだカクテル『ミモザ』を持って

大輔が立っていた。


触れる指先にも表情が変わらなかった。


本来の目的も忘れこれならどうかと甘っ

たるい声で、わざとらしく藤原さんに甘

えていた。


飲むペースも早く、自分でも止められな

い。


(これも、全部大輔のせいなんだから)


合コンも終了したのか、立ちあがると頭

の中がぐらつく。


なんとか歩き、玄関ホールで藤原さんと

腕を組んで寄りかかる。


「藤原さん、一緒にカラオケ行きましょ

うよ」


それなのに、飯島さんが藤原さんに何か

言うと彼は奈々ちゃんを追いかけて行っ

てしまった。


「なんなのよ。こんな美人おいてどこ行

くつもり⁈あんた、なに言ったのよ。」


どいつもこいつも、ムカつく。
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