恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜

私を見つめる大輔の瞳の奥が潤んでいる



「悪かった。お前が浩輔に叶わない恋を

していると勘違いして、見えていなかっ

たんだな。俺を浩輔と重ねていると勘違

いして、そんなお前に苛立ち乱暴に抱い

てすまなかった」


弱々しい大輔の声に思わず抱きしめてい

た。


「もう、いいの。謝らないで…私が勇気

を出していればよかったのよ。あなたに

ちゃんと告白していたら、私を好きにな

ってくれた?」


あの時のようにあなたの心を見せて、そ

してもう一度聞かせてほしい。


「俺は、お前に夢中だったよ。だから、

許せなかったんだ。同じ顔で違いなんて

他人にはわからないのに、なぜお前は俺

を好きならなかったのかって…いつも思

っていた」


あなたも苦しんでいたのね。


「今さらだが…お前が好きだ。ずっと忘

れられなかった。最初からやり直してく

れるか?」


うれしい。


その言葉をずっと待っていた。


私を好きでいてくれたら…側においてく

れたら…それだけでいいの。


寝ている大輔を起こさないようにベッド

から抜け出した。


彼が起きる前になんとかしなければ…。


「ん…美鈴」


「ごめん…起こした⁈」


それなのに、浴衣を着るのに戸惑ってあ

る間に起きてしまった。


「いい…それより浴衣着て何してるんだ

⁈」


…………。

一瞬、思考が止まる。


「私、今日は仕事よ。1度帰って着替え

ないと仕事に行けないから帰るわ」


大輔が動き出す前に出て行かないと…。


時計を確認している大輔が、服を着だし

た。


やばい…。


「送って行く」


あ〜ぁ…やっぱり。


「大輔も仕事あるでしょう。大丈夫よ」


大丈夫だから…


「ほら、行くぞ」


私の言葉聞いていた⁈


テーブルから鍵を拾い送ってくれるつも

りの大輔が駐車場に向かう。


「お前、どこに住んでるんだ?」


「………」


もう、ごまかせないよね。

「……ここ」


「……はー、なんだって⁈いつからだよ

?」


目くじらを立てて怒る大輔。


やっぱり、そうだよね。


「3年前から…」


「ふざけんな…部屋どこだよ?」


「二階の奥…痛い。引っ張らないでよ」


「うるさい」


だから、嫌だったのに…。
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