恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜
永遠の愛を誓う
「ねぇ、部屋で1人で待ってるのも寂し
いんだけど、夜、お店に行ったらダメ⁈
」
俺の部屋で半同棲状態のまま過ごして数
日、朝の忙しい時に突然、言い出した美
鈴。
「なんだ‥部屋で待ってられないのか?」
「つまんないたらつまんない。大輔、ご
飯いらないって言うし、1人で何かする
訳でもないし、TVばかりなんだもの」
頬を膨らませ拗ねてる美鈴。
「邪魔しないから…ね、カウンターの奥
でいいから…」
「………」
昼間ならともかく夜はまずい。
特に今日みたいな週末になると、男の客
が多い。
そんなところに1人で置いておけるか。
見もしない男にヤキモチ妬いてるなんて
知られたくない。
「ダメだ」
「なんでよ。もしかして浮気⁈」
「はぁ〜、どうしてそうなるんだ。毎日
、お前を可愛がってるのに浮気なんてす
るかよ」
ほんのり頬を染める美鈴だが、なかなか
譲らない。
「もう、1人だと寂しいんだもの。寂し
くて死んじゃってもいいの⁈」
「お前は、ウサギかよ⁈」
大輔を睨む美鈴。
「ふっ…そんな顔してもダメなものはダ
メだ」
美鈴は、大輔をベットに押し倒し首筋に
吸い付いた。
「おい…ツッ」
「浮気防止‥大輔がモテるの知ってるん
だから、私以外の女に優しくしないでね」
(まったく‥心配症だな)
「お前以外の女に興味ないよ」
大輔は、美鈴の頭部を固定し唇に触れる。
離れがたい美鈴は、大輔の胸に顔を埋め
美鈴の不安を拭おうと背に腕を回してぎ
ゅっと抱きしめる大輔。
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その日の夜
「いらっしゃいませ」
声とともに店の入り口に目をやると美鈴
が立っていた。
何食わぬ顔でカウンターの奥に座る美鈴。
(まったく、留守番もできないのか⁈)
美鈴の好きなカクテルを作り、目の前に
出すと『ありがとう』とつぶやき微笑む
美鈴。
『飲んだら帰れよ』
つい、美鈴を甘やかしてしまう。
グラスの縁を指でなで円を描く。
待ち合わせの相手が来ないと勘違いした
客が美鈴に近づき声をかけている。
「一緒に飲まない?」
ちらちらと俺を見る美鈴。
(だから、ダメだって言ったんだ…)
だが、接客中の俺は美鈴にかまっていら
れない。