恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜
「ねぇ…大輔、まだ仕事中じゃないの?」
普段なら夜の10時過ぎなんて仕事中だ。
「今日は、もう上がってきた。だから、
心配しなくても時間はたっぷりある」
頬を染める美鈴の唇に触れ、優しくつい
ばむ。
乱れ始める呼吸に欲情し抱きかかえ寝室
を目指した。
美鈴をそっとベッドに寝かせ囁く。
「愛してる…」
ただ一言だけだが、思いの詰まった愛の
言葉。
「私も愛してる」
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「浩輔の言っていた病院ってなんだ⁈」
美鈴を腕に抱きしめたままベッドの中で
問いかける。
「あっ…それ、お姉ちゃんに赤ちゃんが
生まれたのよ。初産だからすごく大変で
陣痛があってから生まれるまで時間かか
って体力がなくなっていくし難産だった
の」
「…そうだったのか⁈」
どれだけ浩輔と疎遠になっていたのかと
反省する。
「それで、仕事で側にいてあげれない浩
輔さんの代わりに2日ほど側にいてあげ
て、今日は赤ちゃんを見にいってたの。
それで、浩輔さんが迷惑かけたお詫びに
って家まで送ってくれたとこに大輔がい
たから……驚いたわ」
突然、思い出したかのように笑いだす美
鈴。
「うふふ…」
「どうした⁈」
「だって、部屋の前で大輔が待っていて
くれたこともそうだけど、浩輔さんに嫉
妬して手を引っ張ってくれたでしょう。
私ばかり、好きなのかと思っていたから
うれしくて……」
笑いをこらえる美鈴。