恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜
「あぁ、嫉妬したよ」
「うそ⁈」
素直に認める俺に驚く美鈴。
「まったく、お前が側にいないとおかし
くなりそうだった。こうしていられるの
も雅樹と早希ちゃんのおかげだな」
「どういうこと⁈」
不思議がる美鈴が顔を覗く。
「雅樹と俺は同じなんだよ」
意味がわからないのか俺の鼻先をつまむ
「‥ッ、痛いって」
「意味わかんない」
「わからなくていいさ‼︎」
嫉妬深いなんて言えるか…
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コンフォルトの店内にあるテーブル席で
早希ちゃんが友達と2人で飲んでいた。
いつもより完全に飲むペースが早い。
どうしたのだろう⁇
昨日、雅樹といた時もどこかおかしかっ
たように思う。
「奈々、あんたは愛されてるんだから自
信持ちなさい。会いたいとか抱きしめた
い。……極め付けに俺には奈々だけなん
て甘いセリフを吐く男だよ。ちゃんと愛
されてるわよ。……うらやましいぐらい
にね」
早希ちゃんの大きな声が聞こえてきた。
キッチンから美鈴が顔を出して店内を伺
う。
あの日から、美鈴はキッチン限定でお店
を手伝い始めていた。
少しでも一緒の時間を過ごしたいと言う
美鈴の気持ちがうれしくて、つい認めて
しまった。
『早希ちゃん荒れているわね』
『見つかったらやばいだろう‼︎ほら、奥
にいろって…』
『えー』
口を尖らせしぶしぶ奥へ戻っていく美鈴。
胸をなでおろしホッとした。
そこへあらわれた雅樹達が、早希ちゃん
を見つけ近づくと拓海をからかい始めて
いた。
拓海は、相変わらず無表情で、雅樹は、
相変わらず笑みを絶やさない、奈々ちゃ
んは頬を染め恥ずかしそうだ。早希ちゃ
んは、顔がこわばったまま雅樹を見てい
る。
突然、グラスをテーブルに叩きつける拓
海を見ると雅樹と早希ちゃんが仲良く拓
海を焚きつけてるようだった。
拓海は、奈々ちゃんの耳元で何か囁くと
真っ赤な顔になる奈々ちゃん。
そして奈々ちゃんにキスをする拓海。
『きゃー‼︎奈々ちゃん達うまくいってる
のね』
後ろで美鈴の声が聞こえ振り向くと扉の
隙間から覗いていたようだ。
『美鈴…』
『はーい…奥にいます』