恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜

雅樹を見て笑みを浮かべた。


「はい…好きです。欲張っていいんです

か?」


頬を染める雅樹。


(くっ、あははは〜)


早希ちゃんの言動に振り回されてる雅樹

が面白くて、笑いを堪えようとするが止

まらない。


もう、限界。


「どうする⁈…雅樹。」


雅樹に声をかけた。


目をパチパチさせ驚く早希ちゃん。


「不安にさせないんで…余計なお世話で

す。」


いつもの雅樹に戻り早希ちゃんの横に座

った。


気づけば雅樹の妹は帰っていた。


「これは、俺からのプレゼント。プリン

セスメリー…祝福って言う言葉があるか

ら2人で飲んで飲んでね」


微笑み2人を祝福した。


映画のワンシーンのように雅樹が早希ち

ゃんにとろけるようなキスをする。


誰もが2人を微笑ましく見つめるなか、

いつまでも続くキス。


雅樹の溺愛ぶりがみえ、あの雅樹がと思

うと笑いが止まらない。


「はい、そこまでにして続きは帰ってか

らしてくれるかな⁈」


「チッ…キスぐらいいいでしょう。」


「ここは、俺の店なの。ほっといたらそ

れ以上のことしだしたろうが…他のお客

さんに迷惑だからさっさと帰れ……。」


その後、2人が仲良く帰って行く姿を見

送った。気づけば、横にいた美鈴が2人

を暖かく見守るように微笑んでいた。


「よかった…早希ちゃん幸せだね。大輔

…私、今の仕事辞める。ここでたくさん

の人に幸せな気持ちになってほしい。マ

スターが言ってたでしょう。ここは、お

客さんの癒しの空間…。少しでも心が穏

やかになれるように接客するのがスタッ

フの仕事だって…。何かのきっかけでも

いいから飯島さんと早希ちゃんのように

幸せを感じてまた、ここに来たいと思っ

てもらいたい。だからここで働きたい」


美鈴の決意が伝わる。


「わかった。お前の好きにしろ。ただし

特別扱いはしないからな」


「きゃー、嬉しい。ありがとう」


ここが店だということも忘れはしゃぎ抱

きつく美鈴。


先が思いやられる。


「美鈴…今の仕事辞めたら籍だけでも入

れるからな」


「えっ…どうして⁇」


「お前が俺のものだって印がこの指に必

要だろう」


美鈴の左手をとり薬指にキスする大輔。


「…大輔、ここお店なんだけど」


頬を染めあたりを見回す美鈴。


「いまさらだろう。お前が抱きついて来

た時点で注目の的だって…」


スタッフと常連客の視線を集め、宣言す

る。


「幸せにする。みんなが証人だ」


たくさんの人の拍手が送られる。


さぁ、幸せのおすそ分けをしようか‼︎


美鈴の肩を抱き、唇に熱いキスをした。


10年…30年…爺さん、婆さんになっても

愛しい君に永遠の愛を誓う。

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