恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜

美鈴side


大輔の部屋で半同棲状態のまま、数日を

過ごしてきたが、洗濯物を取り込んだり

、部屋を片付けたりとすることも少なく

帰りの遅い大輔を待っているだけで、時

間をもてあましていた。


1人でいた時は、いつも何をして過ごし

ていたのだろう⁈


たぶん、たいして変わらないだろう。


1人でいる寂しさに慣れていたのに、2人

でいる時間をこの部屋で過ごすようにな

り、大輔を待っている時間はとても長く

1人でいる寂しさに耐えれなくなってし

まった。


部屋に帰ってきた大輔に頬を膨らませ拗

ねてみせる。


「邪魔しないから…ね、カウンターの奥

でいいから…」


上目遣いで手を合わせお願いした。


「………」


それなのに、ただ一言。


「ダメだ」


「なんでよ。もしかして浮気⁈」


「はぁ〜、どうしてそうなるんだ。毎日

、お前を可愛がってるのに浮気なんてす

るかよ」


もう、露骨に言わないでよ。


ただ、ダメな理由を教えてよ。


「もう、1人だと寂しいんだもの。寂し

くて死んじゃってもいいの⁈」


本当に、こんな日が続いたら死んでしま

うかも…。


「お前は、ウサギかよ⁈」


なんでうさぎなのよ。


そんなこと言ってほしいわけじゃない。


大輔を睨む。


「ふっ…そんな顔してもダメなものはダ

メだ」


なんでよ。


私がお店に来たらまずい事でもあるの⁇


もしかして他に女がいるの⁇


そんなのイヤ‼︎


美鈴は、大輔をベットに押し倒し首筋に

吸い付いた。


「おい…ツッ」


「浮気防止‥大輔がモテるの知ってるん

だから、私以外の女に優しくしないでね」


「お前以外の女に興味ないよ」


大輔が唇に優しく触れる。


1人でいる寂しさと不安を感じて大輔の

胸に顔を埋めた。


背に腕を回してぎゅっと抱きしめてくれ

る大輔。


私達、大丈夫だよね⁈


******************


その日の夜


「いらっしゃいませ」


お客を出迎える大輔が驚き美鈴を睨む。


(ウフフ、驚いてる)


睨んでも怖くないんだから…


何食わぬ顔でカウンターの奥に座る美鈴。


ため息をついた大輔がカクテルを作って

くれている。


目の前に出してきて


『飲んだら帰れよ』


なんて言うから頭にくる。


そんなに私がいたら邪魔なの⁈


最後まで居座ってやる。
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