恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜
突然のプロポーズ⁇
聞き間違いじゃないよね。
驚く私にもう一度語りかける。
「……俺と結婚してここで暮らそう」
嘘偽りのない愛を大輔が私にくれるなら
……あなたの側にいる。
その日を境に、私はコンフォルトを手伝
い始めた。
副業が認められてないので、忙しい時に
キッチンを手伝い、それ以外は、奥の事
務所で伝票整理を任された。
仕事をしながらコンフォルトを手伝うの
は体力的に辛いけど、部屋でただ一人大
輔の帰りを待っているよりもずっといい
。
誰もいない事務所にいれば、大輔が仕事
の合間に顔を見せてくれる。
大輔の側にいられる時間…
もっと一緒にいたいと欲張りになり、3
年前大輔と一緒に働いていた日々を思い
出していた。
コンフォルトで、お客さんの笑顔が見た
くて気配りができるよう1人1人お客さん
の顔を覚え、常連さんの好みを覚え、く
つろげるように料理や飲み物を出すタイ
ミングを計り、毎日が刺激のある楽しか
った時間…。
また、ここで働きたいと思うようになっ
ていた。
そんなある日、コンフォルトに女連れの
飯島さんがあらわれた。
確か、昨日は早希ちゃんを追いかけ一緒
に帰って行った。
今日の早希ちゃんの様子からすると2人
はうまくいったと思っていたのに…これ
はどういうこと⁈
思わず体が動き、飯島さんの前に立って
いた。
「飯島さん、これはどういうことなの⁇」
飯島さんを睨みつける。
その女の子は飯島さんの妹だったらしく
、私の早とちりだった。
「美鈴…勝手にホールに出るな。それに
知り合いだからと言って店で干渉するの
はダメだ」
大輔に注意され‥落ち込む。
でも、怒りながらも大輔は飯島さんに一
緒に謝ってくれたことが嬉しい。
大輔を好きになって良かった。
そこへ、飯島さんに気づかずに早希ちゃ
んがカウンターにあらわれた。
それを面白がって知らないふりをする大
輔もどうかと思う。
遠くから見ていると、飯島さんがあたふ
たしている様子が見えた。
何を言っているのかわからなかったけど
、飯島さんが早希ちゃんに近づき楽しそ
うに会話している。
大輔も笑いをこらえ、2人の為にカクテ
ルを出していた。
微笑ましい光景。
飯島さんが早希ちゃんに長いキスをし、
店内が騒つく。