恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜

お前にとって俺より先に浩輔と出会った

から恋しただけだろう⁈


俺に先に出会っていれば、お前の心は俺

に向かったのか⁈


何一つ変わらない2人の人間なのに、こ

うも1人の女の心の中を支配している対

の存在を作った神は残酷だと思う。


お前が浩輔をどんなに思っても、浩輔は

お前を見ることはないのに…3日後には

お前の姉貴と結婚する奴をいつまで俺に

重ねて見ているつもりだ。


苛立つ俺は、美鈴を抱きしめ唇にキスを

していた。


「…んっ……」


強く押し付けるキス。


俺の苛立ちが伝わればいい。


拒絶すると思っていた美鈴が、背に手を

回しキスに応え始めた。


背中に感じる手のひらの温もりが…いつ

までも感じる唇の熱に俺は止まらなくな

っていた。


ここが店だということも忘れ、美鈴の唇

に何度も触れ角度変え、舌を絡め口腔内

のトマトクリームの味見をする。


息つぎする度にふわっと香るソースの匂

いが、鼻をかすめていく。


シャツをタイトスカートからたくし上げ

ボタンを順番に外し、肩から脱がすが袖

口で両手が引っかかり美鈴の手は動かす

ことができない。


黒いシャツの中は、白いフリルのついた

ブラが一枚。


キスをしながら、美鈴を抱き上げ業務用

冷蔵庫に座らせる。


背の高い美鈴と目線が同じ高さにかわり

、彼女を見つめる。


視線に気付いた彼女は目を開け、俺を浩

輔と重ねている。


「いいのか?やめるなら今だ」


「…いいの。お願いやめないで……」


涙を浮かべ声が震える。


そんなに浩輔の代わりでも俺に抱かれた

いのか?


怒りと欲望で俺は自分を止めることがで

きなかった。


彼女の唇を何度も角度を変えて吸いつき

、彼女の輪郭を確かめる。


そのまま指先は美鈴の赤く腫れた唇に撫

でるように触れた。


「…んっ、あ…」


一瞬、驚きながらも漏れる吐息が指に

その刺激がたまらなく高揚させる。


後手で手をつき体を支える美鈴。


「やっ…んっ、あっ〜」


艶めかしい声で俺を誘う。


「もっと、声出せよ」


「…やっ…無理…」


トロンとした表情で首を左右に振る。


(もっと俺を…)


頬を染め懇願する美鈴。


(お前は、俺をどうしたいんだ)


「わかんないな……ちゃんと言えよ」
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