鳴かない鳥
今井が本を持ってレジに向かう後ろ姿を見つめていた時、
ぐにゃり
目の前の景色が突然、歪む。
えっ!?
あの感覚が、再び僕を襲ったのだ。
どくん、どくん……
自分の鼓動が、耳に大きく響く。
眩暈が酷くなってきて、立っている事が辛くなった僕は咄嗟に本棚に掴まった。
まずい…こんな人の多い場所で倒れたら、騒ぎになる…。
僕は気力を振り絞り自力で本屋を飛び出すと、すぐ脇のビルとビルの狭い隙間に何とか滑り込んだ。
けれど、もう意識を保っていられない。
僕はコンクリートの上に倒れ込むと、そのまま気を失った。
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