Closed~閉じてる彼ら~
「相良さん…?」

「縁ちゃん。どーした?」


声が出せなかった。





羨ましかった。





灯りの点った家。





受け入れてくれる家族。





あたたかいご飯。





あたしが、ずっと、欲しかったもの。





『天城くんは幸せ者だね』





…ホント、だよ…。





『…そうでもない』





…何が、だよ…。

…どこが、だよ…。





視界の端で、天城くんが動いた。





無言で差し出される、箱ティッシュ。





…なんなんだよ…。





…このコ…。


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