Closed~閉じてる彼ら~
雲を破るか良縁は
翌朝。


「縁。おはよう」


居間に腰掛け、スーツ姿で新聞を広げた父親は、昨日の紙に対し何も言わない事を『文句が無い』ととらえているのか、たいそう誇らしげだった。


舌打ち。


「縁。朝から、何だ?

言いたい事が有るのなら、言ってごらんなさい。聞いてあげるから。

ん?」


父親の顔には『有るわけ無いよな?』と書いてある様だった。





醤油の入れ物を手にとる。





無言で入れ物を父親の顔面に投げつける。





相手の額に命中。





醤油が彼を染める。





「じゃ、行くから」




あたしは玄関を出た。


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