Closed~閉じてる彼ら~
その日は、よたよたと家に帰った。





誰も居ない家。

あたしも『ただいま』は言わない。





テーブルに金。

添えられた手紙。


『夕食は、それで買いなさい。父』


夕食は既に済んだ。

金を手に取る。


よし。予算内。


軽い安堵感。





母は居ない。

寂しくはない。これが普通だから。





子供を産むだけで放った母。

子供は金を食って育つと思ってる父。

そして、あたし。





喧嘩もDVも無い家庭。

《何の問題も無い家庭》





笑ってしまう。

自分の家庭。


< 48 / 176 >

この作品をシェア

pagetop