Closed~閉じてる彼ら~
あたしが心の中で宣戦布告したのと同時に、バーコードの指が、もう一段階深い所に進んできた。


…コイツ、調子乗りやがって…。





でも…、抵抗出来ない…。





ふいにバーコードの手が止まる。


「痴漢」


低く、凄むような声。


バーコードの手は、少しゴツゴツした、しなやかな手に捕まれていた。



ナイス・アシスト!

これで、バーコードをしょっぴけるってモンよ。





あ、お礼言わないと。


「ありがとうございます、助けてくれて…」





あ。


その人は…─


「天城くんじゃん。おはよ」

「おはよう」


それからホームに降りるまで、あたし達は無言だった。


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