Closed~閉じてる彼ら~
ホームに降りる。


バーコードは、天城くんに後ろ手に押さえられていた。


「け、警察は勘弁して下さいっ!

私には、妻と子が居るんだ!会社をクビになったら…」

「あたしの心に傷が残ったら、どーしてくれんの?」


バーコードは押し黙った。


けっ。いい気味。


「この人は十分に反省している。これ以上、責めることはない」

「…解ったよ。あたしだって、鬼じゃないし」

「…だ、そうだ。二度とするなよ」


バーコードは、何度も頭を下げた。





「ありがとね、天城くん」

「いい。当然の事」


通学路。


完全に遅刻だな、これは。


「でも、助かったよ。あいつ、肘うち効かないからさ、困ってて…」


沈黙。


彼の顔をチラ見。


斜め下からでも、凛々しモンだね。しかめっ面だけど。


「天城くん。聞いてる?」

「俺?」

「うん」


他に、誰が居んのよ?


「ごめん。考え事してた」


…ひどくない?


「…何考えてたの?」





「…お名前は?」





…ひどくない?


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