ナオ ~キミを愛してた~


リュウシンのベッドも香りがキツい
甘い、バニラのような。むせ変えるような香りが鼻に残る

こんなベッドでよく数時間寝られたなと、後から気づくアタシ

ココアをひとすすりして、ベッドの側の棚に置く

するとリュウシンがアタシのおでこに自分のおでこをくっつけた



「どしたの…リュウシン……?」


「…オレが心を開けた女性は、貴女だけだったなと思って…」

「何をいきなり。別れ話じゃないんだから。」

それもそうですけど、と笑いながら言うリュウシンの声音が途端、真剣になって

「だけど、オレだけに振り向いてくれなかったのも、貴女だけだ」

そっとおでこを離すと
また、あの瞳でアタシを見る。





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