ナオ ~キミを愛してた~

直が近付いてくる

手を握られた
アタシは恐る恐る直を見る

「帰ろっか、俺の家。…思い出したんでしょ。無理しないでよ?」

直はただのお人好しだよ…
こんな我儘言ってても


どうしてこんなに大切に
してくれるんだろう

やりきれない思いが込み上げる

申し訳ないよ
物凄く


展望台を降りて
寒くなった雪の道を歩く

息を吐くと白くなって
すぐ消える

直の頬が少しだけ赤い

マフラーの隙間から
見え隠れする直の唇は
乾燥してていつもの潤いは無かった



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