ナオ ~キミを愛してた~

冷たく悲しい風に吹かれる焦茶の髪が
そよそよと流れる

黒い瞳にもう一人のアタシが映ってる
そのアタシはとても弱々しくて
みっともなくて


「…守ってやりたかった」

そう言って、直はアタシにキスをする
唇を合わせるだけの、キス

乾燥した唇がアタシの唇に当てられる

優しすぎて壊れるような
切なくて苦しいような

悲しみに溢れたキスだった


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