ナオ ~キミを愛してた~


アタシの頬に触れた手は


とてつもなく冷たくて

「……ショートカットの髪…俺は好きだよ…」

「…え……?」

「優しいお前も、我儘なお前も好き」

「直…何言って…?」

「…俺、別れたくなんかないよ」


そう言ってキスをされた
香みたいな大人なキスじゃなくて

直が最初にアタシに植え付けた

優しくて壊れそうなキス


このキスが
何度も心地いいって
何度ももっとしたいって

初めて思ったキスだった


「…じゃあ別れる理由なんてない…」

アタシがそっと言うと
彼は静かに首を振る

「…俺は、お前を守ることも出来ない弱い男だよ。だから…もっと優しくて、強くて、お前を守れる…そんな男に幸せにしてもらえよ…?」


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