ナオ ~キミを愛してた~

冷たい指先で
アタシの涙を拭き取ると
彼は言った


「…素直じゃなくて…ごめんな?」


その時

彼の涙を初めて見た


そっとアタシの頬から手を離し、
桜並木を歩いて行く直


その背中はとても小さくて
あの頃の直の背中には見えなかった


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